バレエのレッスンを受けながら、「上体を引き上げて」と注意を受けることがあると思います。
上体を引き上げてと言われてもピンとこない人もいるかもしれません。
よく言われるのが、「上に引っ張られているように」、「背中を意識して」などですが、正解はよくわかっておらず、むしろ背中を傷めたり故障に繋がってしまうこともあります。
意識してもうまくいかないという声が多く見られるのが、この「引き上げ」です。
それは上半身を引き上げるための具体的な手順や方法を知る機会がないからだと思います。
文字通り上半身だけを引き上げると、体が浮いてしまって、うまくバランスが取れなくなります。
バレエの引き上げの基本
身体の引き上げを可能にするのは、もちろん筋肉も大事ですが、まず基本となるのが、真っ直ぐなラインをつくることです。これが前提です。
引き上げの基本は、骨盤を上にひっぱりあげて、高い位置にキープすること。そのためには正しい重心点に立ち、外くるぶしが左右に傾斜しないよう、しっかりと起こします。
具体的に正しい姿勢、真っ直ぐなラインになるようにするには、
・足裏3点で均等に立つ
・かかとで床をしっかり感じられるように立つ
・お尻の下にくぼみを作るように骨盤を立たす
・脚付け根の前の靭帯を伸ばす
・肩甲骨を下げる
・頸椎を伸ばす
・顎を90度で起こす
などがあります。
これらを守れば正しい体のラインを形作ることができます。
引き上げには筋肉も必要ですが、この形を守って立つことを意識し続けることでも、かなりの筋肉を要すことになります。
まずは、尾てい骨から頚椎までがほぼ一直線になるようなラインを作ること、姿勢を保つことをしっかり心がけてみましょう。
引き上げのための筋肉トレーニング
例えば毎日腹筋運動をしていても、一般に知られている屈曲する腹筋はバレエでは使わないので、引き上げへの効果が期待できません。
では、バレエの引き上げに有効なトレーニングについて少しご紹介します。
正しい姿勢を維持するために必要なのが、側筋です。両脇の筋肉ですね。
体の左右から脇をぎゅっと締める感じが意識できると、首がスッと上へ伸び、足はしっかりと地面を踏みしめることができるようになります。
側筋が備わっていても、意識が薄いと使い切れないことがあります。筋肉の存在を強く感じられれば脳からの指令も届きやすくなり、引き上げの姿勢も維持できるのです。
次に正しい姿勢をキープし、どんな動きをするときにも崩れない上半身を作るために、背筋はとても重要です。
うつぶせに寝て、体を反らせる背筋トレーニングは、背筋を鍛えるためのスタンダードなエクササイズですが、そのスピードに注目すると、より効果的です。 上体を上げる時も、下す時もゆっくりと動かすことで筋肉が強化され、より踊りやすい体になります。
そして、骨盤を引き上げるための腹筋は、おへそ周辺の表面部分ではなく、体の深奥くにあります。
腹筋はこの部分を鍛えるようなトーレーニングを行うのがオススメです。
引き上げができると股関節の動きが良くなる
十分な「引き上げ」ができるようになると、クラシックバレエに欠かせない美しさ、軽やかな踊り、上体のしなやかさ、表情などが発達します。
引き上げができ上体が安定すると、様々なステップを自在に踊ることが可能になるのです。
また、股関節の自由度が増し可動域が広がます。足の開きも良くなります。
いかに、バレエを踊るためには「引き上げ」が大切かがわかります。
「引き上げ」ができるようになるためには、“上体を引き上げるためにある箇所を引き下げる”ということが大切です。
これができていないと、身体を引き上げたつもりでもバランスが悪く安定することができません。
引き上げにもコツがあるのです。
教材の中では、コツを知ったうえで正しい上体の引き上げ方法を具体的に解説していきます。
上半身を引き上げるという感覚がわからなかった人にも、これならすぐに実践でき悩みも解消できると思います。
動画では、より美しく上体を引き上げるための腹筋、背筋、側筋の新・筋力トレーニングを紹介しています。ぜひ参考にしていただければと思います。